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(1) 概要
外国人が在留資格をもって日本に在留する場合、その在留資格は一旦取得すれば無期限に認められるものではありません(「永住者」ビザを除く)。主に「1年」「3年」「5年」などといった在留期間が入国管理局により定められ、「3年」「5年」の定めがある在留資格でも初回取得時には「1年」の在留期間が割り当てられることが多いです。この在留期間満了後も引き続きその在留資格で在留するためには、在留期限の到来する前に更新許可申請を行わなければなりません。
在留期限を1日でも過ぎるとオーバーステイ扱いになります。オーバーステイになると、入国管理局に自己申告して帰国した場合は入国禁止期間も1年で済みますが、そのまま申告せず強制退去処分になってしまうとその後5年間日本に入国出来なくなるため十分に注意が必要です。更新を忘れてしまった説得力ある理由を説明することにより申請が特別に受理されるケースもありますが、容易ではありません。その他、日本人と結婚している場合は「在留特別許可」(別ページでご紹介します)を申請することにより引き続き日本に滞在出来る可能性もありますが、それも容易ではありません。
更新許可申請は、在留期間満了日の2か月前から申請を行うことができます。在留期限到来前に更新申請をした場合は、たとえ在留期限が過ぎてしまっても、処分がなされるまでは最長2か月間は適法に在留することができます。
ただし、入管法によれば、在留期間の更新は在留資格変更と同様「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」とされており、申請をすれば必ず許可になる訳ではありません。在留期限ぎりぎりの申請の場合、不許可処分になれば直ぐに出国しなければならないので、申請は時間的余裕を持って準備する必要があります。
(2) ガイドライン
この「在留資格の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかは、申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性などを総合的に考慮した上で法務大臣が裁量で判断するとされています。判断の際に考慮する事項についてはガイドラインが法務省により公開されていますのでご紹介します(法務省「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」より)。
(ⅰ) 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
申請人である外国人が行おうとする活動が,入管法別表第一に掲げる在留資格(*就労等の活動に基づく在留資格)については同表の下欄に掲げる活動,入管法別表第二に掲げる在留資格(*身分又は地位に基づく在留資格)については同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。
(ⅱ) 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
法務省令で定める上陸許可基準は,外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準ですが,入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動を行おうとする者については,在留資格変更及び在留期間更新に当たっても,原則として上陸許可基準に適合していることが求められます。
また,在留資格「特定活動」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(特定活動告示)に該当するとして,在留資格「定住者」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」(定住者告示)に該当するとして,上陸を許可され在留している場合は,原則として引き続き同告示に定める要件に該当することを要します。
ただし,申請人の年齢や扶養を受けていること等の要件については,年齢を重ねたり,扶養を受ける状況が消滅する等,我が国入国後の事情の変更により,適合しなくなることがありますが,このことにより直ちに在留期間更新が不許可となるものではありません。
(ⅲ) 素行が不良でないこと
素行については,善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要素として評価され,具体的には,退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為,不法就労をあっせんするなど出入国管理行政上看過することのできない行為を行った場合は,素行が不良であると判断されることとなります。
(ⅳ) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
申請人の生活状況として,日常生活において公共の負担となっておらず,かつ,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります。)が求められますが,仮に公共の負担となっている場合であっても,在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には,その理由を十分勘案して判断することとなります。
(ⅴ) 雇用・労働条件が適正であること
我が国で就労している(しようとする)場合には,アルバイトを含めその雇用・労働条件が,労働関係法規に適合していることが必要です。
なお,労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は,通常,申請人である外国人に責はないため,この点を十分に勘案して判断することとなります。
(ⅵ) 納税義務を履行していること
納税の義務がある場合には,当該納税義務を履行していることが求められ,納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。例えば,納税義務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。
なお,刑を受けていなくても,高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も,悪質なものについては同様に取り扱います。
(ⅶ) 入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は,入管法第19条の7から第19条の13まで,第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出,在留カードの有効期間更新申請,紛失等による在留カードの再交付申請,在留カードの返納,所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
<中長期在留者の範囲>
入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人で,次の①~⑤のいずれにも該当しない人
①「3月」以下の在留期間が決定された人
②「短期滞在」の在留資格が決定された人
③「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
④ ①~③の外国人に準じるものとして法務省令で定める人
⑤ 特別永住者
*ただし、上記の事項のうち,(ⅰ)の在留資格該当性については,許可する際に必要な要件となります。また,(ⅱ)の上陸許可基準については,原則として適合していることが求められます。(ⅲ)以下の事項については,適当と認める相当の理由があるか否かの判断に当たっての代表的な考慮要素であり,これらの事項にすべて該当する場合であっても,すべての事情を総合的に考慮した結果,変更又は更新を許可しないこともあります。
(3) 専門家のサポートが推奨される代表的なケース
ビザ更新手続きの中には、個人での申請は難しく、特に専門家のサポートを受けた方が良いものもあります。以下に、その代表的なケースをご参考までにご紹介いたします。
① やむを得ない事情でオーバーステイ(在留期間経過後の申請)になってしまった場合
一般に、ビザを更新する前に在留期間が経過してしまうとオーバーステイとなり、その後も日本に滞在し続けたい場合は在留特別許可を受けることを検討しなければなりません(詳細は「在留特別許可・行政訴訟」のページを参照してください)。
ただし、例えば更新申請の直前に事故や病気で動くことが出来ずに在留期間が数日経過してしまったなど特別な事情がある場合には、入管が特別に申請を受理する場合があります(これを「特別受理」といいます)。申請が間に合わなかった合理的な事情がある場合は、そのやむを得ない事情をあきらめず入管に訴えかける必要があります。
② 会社が赤字経営の際に「経営・管理」ビザを更新する場合
「経営・管理」ビザにより外国人が日本で経営・管理している会社が赤字決算見込みの場合、ビザ更新をすることは果たして出来るのでしょうか。この問題については、法務省によりガイドラインが公開されており、この中の赤字の場合の事業の継続性に関する入管の判断指針に基づいて更新出来るかどうかを検討することになります(法務省「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」、詳細は「経営・管理ビザ」のページを参照してください)。このガイドラインによれば、たとえ赤字決算であっても直近期末あるいは直近期前期末において債務超過になっていない場合は事業の継続性が認められる可能性がありますので、今後1年の改善見通しを盛り込んだ事業計画を具体的な数値をもって示す必要があります。
③ 日本人の配偶者と別居中に「日本人の配偶者等」ビザを更新する場合
「日本人の配偶者等」ビザを持っている外国人が配偶者の日本人と別居中の場合、ビザ更新が出来るのかどうかが問題となります。
この点について判例を参考にすると、たとえ婚姻関係が冷却化している場合でも、その状態が固定化しておらず関係を修復維持する余地がある(例えば夫婦関係調整のための調停中)場合にはビザ更新出来る可能性があります。
入管法によれば、「日本人の配偶者等」ビザで滞在している外国人が配偶者としての活動を6か月間行わなければ、入管は正当な理由がある場合を除いて在留資格を取り消すことができるとされています。つまり、「6か月以上別居が正当な理由なく続いていて、修復の可能性もない」にあてはまらなければ、在留資格の取消事由に当てはまらないとして更新を働きかける余地があるということです。
この他にも、
・退去強制事由にまでは至らない刑事罰を受けた場合、交通違反を受けた場合、追徴課税を受けた場合など、上記「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」内「(ⅲ)素行が不良でないこと」「(ⅵ)納税義務を履行していること」より更新が不許可になりかねないケース
・転職したが、転職先の業務内容で就労ビザが更新出来るか不安なケース
・日本人の配偶者と離婚して、新しく日本人の配偶者と再婚したケース
など、ビザ更新が可能かどうかを個人では判断し難い場合も多々あると思います。その場合は1人で悩まず、私共弁護士のような専門家にご相談ください。